NA8 シリーズ2の16bit CPU化の理由を考える

| コメント(0)

1996年に発売されたユーノス・ロードスター NA8 シリーズ2は、ECUが16bit CPU化されたことはカタログでの売り文句になっていて、知られている情報です。

p1-2.jpg

16bit化による3psアップ、軽量フライホイール、ファイナルギアを4.3へローギアード化(日本のみ)と走りの性能を向上させています。
欧米は軽量フライホイールもなく、ファイナルはMTも4.1のままです。
これはストップ&ゴーが少ない土地柄もある事もあるのでしょう。

8bitと16bitって名前だけみると2倍になっただけと思いますが、ECUのCPU部分の8bitと16bitは大きな違いがあります。
扱える値が8bit CPUは0~255、16bit CPUは0~65535と大きく増えています。
メモリも8bit CPUの64KBから16bit CPUの16MBと増えています。
まあこの頃は多くても1MB程度ですが。
この違いが16bit CPU搭載のECUの性能向上による商品性向上につながっています。

ただなぜこの時期なのか。実は同じ年にFD RX-7もECU 16bit化しています。
こちらは同じスポーツモデルなのである意味納得ですが、北米モデルはこの時期にファミリーカー含めて大体16bit ECUに変更されている様子です。
なおFD RX-7の北米モデルは前年で販売終了となっています。

16bit ECU化はスポーツモデルの性能向上ではなくて、時代の流れからの要素が予想されます。
それを決定づけていた事に気づいたのが、米国市場で1996年販売モデルからOBD-II(On-board diagnostics II)の搭載が義務化されている事です。
(今回このブログを書くきっかけになりました)
エンジン診断で、今までバラバラだった規格を統一し、同じ機材で様々なメーカーの自動車が診断できる規格です。
これに対応する為には、OBD-IIの信号を出力する為にECU自体を変更する必要があったのだと思われます。
NA8CでOBD-IIが搭載されたのは米国向けのMX-5 Miataのみで、日本仕様、欧州仕様には搭載されていません。
なおNBからは全仕様に標準搭載されています。
NA8C 北米仕様のOBD-IIのコネクタは、アクセルペダルの上、ダッシュボードの下についていました。
シャーシアース、信号アース、Kライン、バッテリー電圧の4pinです。

d1de7f421a.jpg

次に電子パーツの製造の都合もあると思われます。
電子パーツ(LSI等)は一般的に3~6年で世代交代しています。
16bit ECUは1996年頃から一気に採用が進んでいたのでパーツ製造の都合上でコストも考慮すると16bit ECUへ移行が望ましいと考えられたのかもしれません。
実際、16bit ECUを見ると集積化によるトータルな部品点数の削減が出来ている事が判ります。
参考までに歴代のECUの基板を。(写真は海外版です)

NA6時代のECU
the 1980年代という感じのアナログ的な回路です。
抵抗とコンデンサが多い。しかも今の時代のようなチップではなく昔ながらのデカい抵抗です。
ただ一番デカいICがCPUとROMを兼ねたカスタムICで、いざ弄るとなると面倒らしい。


1d60e9f81d.jpg

NA8登場時のECU
CPUを搭載したVLSI (Very Large-Scale Integration/超大規模集積回路)が1つ利用されています。
VLSIの上がROMという事で、汎用的なECUとなっています。
ROMが分離されているのでチューンしやすいとも。


4352a22a57.jpg

NA8シリーズ2のECU
VLSIが2個になっています。またVLSIのピン数も増えている事が判ります。
また基板がシンプルになっていて、はんだ付けされていないパーツも多し。
このECU時代は当時のマツダの16bit ECUの共通の基板の様子で、他のモデルも同様の基板を使用しています。(部品の有無はあります)


5e20fcd088.jpg

参考までに1996年以降に欧州で販売されていた、1600のNA6CのECUはこちら。
NA8に近い基板ですね。8bit CPUを使っていた事が判ります。
OBD-IIの対応は不要なのとハーネスの手直しまでしたくないという意味合いでしょうか。
ちなみにこの時のB6は、パワーを抑えた90PS仕様です。保険料を安くするためでしょうか。


17a3558911.jpg

比べるとNA8 シリーズ2のECUは別物ということが判ります。
時代に合わせてコストが上がる16bit ECUは避けられない。
ならばそれを生かした商品力アップ。
エアバッグ標準化などのコストアップ要因がありましたので
NA8シリーズ2はコスト削減されたイメージがありますが、
海外仕様のクラシカルからモダンへのイメージ変更の可能性もあります。
写真はUS仕様です。

5fc7f5f1fc.jpg

こうみるとNB前期ぽい雰囲気ですね。
ちなみにこの内装はNA8へ変更時な海外では採用されています。
この内装デザインがNBへ繋がっていると感じます。

コメントする

月別 アーカイブ

ウェブページ

  • about
OpenID対応しています OpenIDについて
Powered by Movable Type 6.7.3

この記事について

このページは、Niiが2022年1月 4日 23:00に書いた記事です。

ひとつ前の記事は「初詣とNA号54万km到達」です。

次の記事は「お仕事Macアップデート」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。